学校施設バリアフリー化の課題

伊勢原市の「バリアフリーのまちづくり」は2005年(平成17年)に基本構想が策定され、バリアフリー化に向けた整備が進められてきました。特に、2010年(平成22年)までの5年間は重点的に取り組みが進められ、具体的には、道路や公園、不特定多数の市民が利用する公共建築物、高齢者や障がい者等が利用する福祉施設のバリアフリー化が整備されました。交通バリアフリーでは、伊勢原駅、愛甲石田駅を中心とした地区について、高齢者や障がい者等の方々の移動の利便性や安全性の向上が図られたとのことです。

2005年以前は、車いす利用者の方が街に出ると歩道が途切れるたびに段差に悩まされ、行き先では車いす用トイレを探し回らなければならないという状況でしたが、徐々に歩道の段差の解消や点字ブロックの設置が進み、排水溝のふたも変わり移動しやすい環境整備が進みました。一方、公共建築物の整備方針に関しては、市庁舎や図書館・子ども科学館の整備状況に比べ、地域の学校施設や公民館でのバリアフリー化の整備状況には課題があります。市内の学校施設では10の小学校と4つの中学校において、エレベーターの設置は小学校4校のみと言う状況です。近年、インクルーシブ教育では、共生社会の形成を目指して子どもたちは障がいのあるなしにかかわらずできるだけ共に学ぶ教育の姿を目指すとされています。また、災害時には避難所となる学校施設においてバリアフリー化が一向に進まない状況は、全市民に関係することでもあるのでどのような見解であるのか、6月議会で質問しました。「既存の学校施設へのエレベーターの設置については、校舎の建て替えと長寿命化改修時に整備を計画している。」との答弁であったので、それでは直近でいつ頃であるのか尋ねたところ、「具体的には、令和14年(2032年)以降である。」との答えでした。確かに学校施設でのエレベーター設置には大きな財源を必要としますが、コロナ禍で開催された東京2020オリンピック・パラリンピックにおける共生社会進展については期待、残念ながら地方自治体への影響は極めて限定的と言う結果でした。

エレベーターが設置されるまでの間、移動の自由を確保するために、階段昇降機の各学校への設置と使用手順の研修を提案しました。