川崎桜本の朝鮮人学校を訪問しました。
JR川崎駅東口からバスで15分、臨港警察署前を下車ししばらく行くと、中留公園近くの桜本に幼稚園と小学校の子どもたちが学ぶ『川崎朝鮮初級学校』があります。川崎朝鮮初級学校は在日韓国・朝鮮人の1世が創立してから72年、現在、40人の児童たちが母国語である朝鮮語をはじめ朝鮮の歴史や地理、民族の伝統文化とともに、日本と世界の歴史や地理・社会に加え、数学・理科等の自然科学も学んでいます。在日朝鮮・韓国人の3世、4世、5世である今の子どもたちは、日本に定住することを前提に、在日同胞社会・日本社会の一員として活躍できる人材を育てるための教育を県下にある5校の朝鮮学校とともに行っています。2月9日(土)に開催された『第3回かながわの朝鮮学校交流ツアー』に参加し、授業参観や歌や踊りの発表会、講演、グループトーク等盛りだくさんのプログラムを通して考えさせられました。
そもそもなぜ大勢の在日韓国・朝鮮人が日本に住み暮らすようになったのか、過去にどんな歴史があったのか等私たちはほとんど学んでいません。この桜本の地域には第2次世界大戦以前から多くの在日朝鮮・韓国人が住み、暮らし、差別をはじめ様々な問題に向き合ってきました。しかし、拉致問題や核問題の報道は朝鮮学校の子どもたちへ「ヘイト」が向けられる結果をもたらし、神奈川県は他の外国人学校に適用している学費補助制度から朝鮮学校を除外しています。神奈川県弁護士会は2016年に、学費補助の支給を行わないことは、「不合理な差別的取扱であるので、そうした人権侵害を直ちに止め、過去にさかのぼって支給すること」と強い司法的措置にあたる『警告書』を提出しました。また、国連人種差別撤廃委員会は、日本に対して、朝鮮学校を高校無償化の対象から除外する動きについて懸念を表明し、子どもたちの教育の機会に差別がないようにすることや義務教育においていかなる妨害も受ける事がないようにすること、自分たちの言葉で授業を受けられるような機会の提供を検討することなどを相次いで勧告しています。
桜本で長年様々な問題に取り組み活動してきた関田寛夫さんは、講演の中で「同情は差別を深める」と指摘されました。対等な立場で、日本人の問題として気付き、苦しみ、痛みを理解して共に闘ってきた経験からの言葉は、まだ解決されていない学費補助の問題やヘイトスピーチ問題さえも超えて行くような確信を感じました。国や県は、直ちに差別的な取扱を止め、在日韓国・朝鮮人の子どもたちの学ぶ権利を保障するべきです。