香害学習会に参加して
香りの害、「香害」とは洗剤や柔軟剤、シャンプー、制汗剤等の香りつき商品によって、頭痛・吐き気・のどの腫れ・発熱・倦怠感などの健康被害が引き起こされることであり、そのために学校や仕事に行けない・外出できない深刻な状態になる場合もあります。電車やエレベーター等閉ざされた空間が強い香りで充満していて乗ることが出来ない、集合住宅では隣家からの臭いに耐えられず転居せざるをえないケース、香りの影響は想像以上に広がっています。1月21日(月)新横浜のオルタナティブ生活館で、「香害」とは?~“香り”が奪う健康とその原因~について、岡田幹治さんを講師に迎え、学習会が開催されました。
香り付き商品は、2008年に大手3社が「香りつき柔軟剤」を販売したことから始まり、2012年以降、香りが強く長持ちする「香り専用剤」が登場し、制汗剤、消臭・芳香剤から文房具や洋服、加工食品、飲料等広く香り成分が使用されるようになり、他にも香りの空間を演出する場所も登場し、あらゆるところに香り漂う社会となりました。それに伴い国民生活センター(PIO-NET)への相談が急増し、日本石鹸洗剤工業会と各社は、周囲への配慮と適量の使用を呼びかけますが、関係省庁は対策不要との態度です。成分には香りのしないものもあり、知らずにだれもが被害者にも加害者にもなる可能性があると、岡田さんは指摘します。
一方、香りによる健康被害は、一過性の不快感・頭痛・吐き気から、喘息やアレルギーを引き起こすもの、ごく微量の化学物質に反応する「化学物質過敏症」や室内の空気汚染、特に揮発性有機化合物が原因の「シックハウス症候群」がありますが、2000年と2012年に実施された大規模疫学調査では香害による被害者が増加傾向を示しています。しかし。過敏症を発症しても治療方法は特になく、衣食住すべてにおいて化学物質の曝露を避け、解毒を促進し、健康的な環境で症状改善を待つことしかありません。また、専門診療機関もごくわずかです。
また、 テレビコマーシャルで盛んに流される消臭除菌スプレーは、洗濯をしなくてもあたかも清潔な状態を保てるかのような印象を与えますが、さわやかな香りや消臭に香料成分が使われ、除菌成分「QUAT(クウオット)」は、アレルギーや皮膚炎、喘息等の原因になるもので、安易に使ってはならないものです。他にもトリクロサンやイソシアネート等の有害性について最近の研究結果から、問題や危険性が指摘されています。また、芳香柔軟剤にはPRTR法で「人の健康と動植物の成育に有害」と指定されている物質も含まれています。
神奈川ネットワーク運動が実施した香りについてのアンケートでも全国から反響があり、香りの害に苦しむ人たちが想像以上に多くいることが分かりました。現代社会は膨大な量の化学物質に曝された生活環境となっていて、特に子どもたちへ影響が心配です。私たち消費者は、香りの成分開示を求めると共に、香りに苦しむ人たちの実態を知らせ、有害商品を使わない人を増やすことで社会を変えて行く事につながります。誰にとっても暮らしやすい社会にしていくことが大切です。