神奈川県立子ども自立生活支援センター「きらり」
平塚市片岡にある神奈川県立子ども自立生活支援センター「きらり」は、乳児院、障害児入所施設、児童心理治療施設と言う専門性の高い3つが一体となった神奈川県で初めての子どもの自立を支援する複合施設です。0~2歳の乳児院は定員12名、幼児から高校生年齢の知的障害や知的障害を伴う発達障害のある子どもが生活する障害児入所施設は定員42名、主に小中学生で軽度の情緒障害や発達障害のある子どもが治療のため概ね2年程度入所する児童心理治療施設の定員は42名、合計96名の子どもたちの受け入れが可能です。所在地は、県立五領ヶ台高校跡地の一部で、敷地面積20,365.72㎡、延床床面積は9,114.53㎡です。入所している子どもたちは敷地内にある平塚市立金目小中学校の五領ヶ台分校で学校生活を送ることができ、グラウンドやプール、体育棟の設備も整っています。小児科医1名と小児精神科医1名が常駐し、看護師、保育士、臨床心理士、社会福祉士、教員等200名近い職員が交替で、24時間体制の生活を支えています。
子ども自立生活支援センター「きらり」の開設の背景には、児童虐待相談件数の増加や虐待を受けた子どもの心のケアの必要性、知的障害や発達障害などを有する子どもとその家族への専門的ケアの必要性、児童福祉施設に入所する情緒・行動上に著しい問題がある子どもたちへの専門的な支援の必要性等があります。横浜で昭和20年代はじめから戦災孤児を受け入れてきた中里学園やひばりが丘学園においても、深刻な虐待を受けた子どもとその保護者への支援や、行動障害や医療的ケアを要する知的障害児への支援の必要性が増大し、総合的な支援体制を構築するために両学園の機能を統合・強化を図り、心理・医療等の専門的ケアができる施設としての子ども自立生活支援センターの開設に至ったとのことです。
子ども自立生活支援センター「きらり」には、様々な事情から自宅でくらすことが困難になった子どもたちや専門的な支援が必要な子どもたちが生活の支援や心理ケアを受けながら生活しています。福祉、医療、教育の各専門スタッフの連携はもとより、家族、学校、地域が連携して子どもの自立を支援します。また、専門的機関として、児童福祉施設や里親、市町村、教育機関に対し技術研修や相談を実施し、県内の保健福祉人材の養成のため、臨床実習の場を提供しています。
「きらり」の基本理念には子どもの「生きる力」と「つながる力」の育成が謳われていますが、地域からは積極的にボランティアを受け入れています。ボランティアには、行事への協力や外出の付添、衣類の補修等を依頼するほか、イベントなどを通じて交流を深め、開かれた施設となることを目指すとあります。「きらり」は2017年4月に開設したばかりの若い施設であるので、地域や施設に様々な関心を寄せる外部からの支援は必要かつ重要です。開かれた施設として地域に根ざし、社会全体での理解を深め、共に学び合いながら共に暮らして行ける豊かな地域社会を構築することが期待できます。