公契約条例の制定を求めるシンポジウムから

2012年10月22日 13時49分 | カテゴリー: 活動報告

『みんなが豊かになる社会に向けて』と題するシンポジウムが「神奈川建設労働組合連合会」主催、「横浜弁護士会」後援により10月20日(土)建設プラザかながわで開催された。

 法曹界や学識経験者からの指摘

 弁護士の小島周一氏からは、公契約が広がりつつある背景として、過当な低価格競争や落札額の低下があり、受注者への経営圧迫は、下請け・孫請けへ影響を及ぼし、ワーキングプアを生み出し、その結果サービスや仕事の質の低下を招いている、との指摘があった。打開策として、地方公共団体は公契約にもとづいて、事業現場で働く人の労働条件を守る必要が明言された。地方自治体で働く労働者を保護するためであっても、公権力による規制では強力ではあるが必要最小限、厳密にならざるを得ず、むしろ契約(約束)による規制の方が、柔軟に目的を達成出来る、との違いが示された。

 建設政策研究所の松丸和夫氏は、建設産業は、工事・投資はピーク時から半減していて、厳しい状況である今こそ、公契約条例を機能させる意義があると主張。労働者の生活が担保されることは、地域経済振興につながり、自治体は地域住民の生活の向上に責務があり、またそのコーディネートを担う事はマネージメント上不可欠である、と強調した。

 行政や現場への働きかけ

 首都圏建設産業ユニオンの丸田氏からは、川崎市公契約条例建設連絡会の取り組みが具体的に紹介された。2011年4月施行の川崎市では、調査で条例の未周知と下限報酬以下の実態が明らかになった。その改善要望を受けて、川崎市は、啓蒙ポスターやチラシ・リーフレットの作成、対象現場の訪問、受注者や一次下請業者への説明会開催などを実施した。下限以下の報酬では、品質の確保に問題がある、また条例を担保するために、事業者の協力を仰ぎ、対策を講ずる必要が審議会からも発せられた。今後の課題としては、元請・受注者対策として、入札や社会保険未加入問題に対する継続的・定期的な機関設置を要望した。川崎市には、関係部局と労使による対策チームで、周知、教育、提案などで、条例推進の役割を果たすことを求めた。現場対策としては、訪問・聞き取り調査の継続と、就労者の把握、意見交換の場の設定が求められた。

 神奈川県建設労働組合連合会書記長の渡部三郎氏からは、1983年に始まった日本の公契約の歴史と経過、現段階での到達点である自治体や契約相手の責務や、報酬下限額の設定基準、低入札改善への相互理解の進捗が報告された。

  国や自治体こそ「安ければいい」との考えを改め、公契約条例によるモデル事業を進め、拡大に貢献するべきである。地域の事業者と労働者を守りその生活を担保し、地域経済振興に寄与する公契約の意義を認識し、推進する事は自治体の果たすべき大きな役目である。